少しでも余計に身につけたい、あるが上にもほしい、貰うことはうれしく、出すことは嫌い。そうこれが、かなしいけいど人間の性だよね。
秋の柿の出盛りの旬でありました。桝井おさめさんは、教祖の御前に出さして頂いていました。柿が盆に載って御前に出ていました。
教祖が、その盆に載せてある柿をお取りになるのに、あちらから、又こちらから、いろいろに眺めておられます。その様子を見て、おさめさんは、教祖も、柿をお取りになるのに、やはりお選びになるのやなあ、と思って見ていました。ところが、お取りになったその柿は、一番悪いと思われる柿をお取りになったのでした。そして、後の残りの柿を載せた盆を、おさめさんの方へ押しやって、「さあ、おまはんも一つお上がり」とおおせになって柿を下さいました。
この教祖の様子を見て、おさめさんは、ほんに成る程、教祖もお選びになるが、教祖のお選びになるのは、我々人間どもの選ぶのとは違って、一番悪いのをお選りになる。これが教祖の親心や。子供にはうまそうなのを後に残して、これを食べさしてやりたい、という。
これが本当に教祖の親心や、と感じ入ったと伝えられています。利害や打算をこえて、人の喜んでもらえるよう、つとめることによって、陽気ぐらしへの道って開かれて行くものなんだろうね。